文化財保護法第2条第2項にあるように「演劇、音楽、工芸技術、その他の無形の文化的所産で我が国にとって歴史上または芸術上価値の高いもの」を「無形文化財」と言います。
この無形文化財とは、人間の「わざ」そのものであり、具体的にはそのわざを体得した個人または個人の集団によって体現されるものです。
国は、無形文化財のうち重要なものを重要無形文化財に「指定」し、同時に、これらのわざを高度に体現しているものを保持者または保持団体に「認定」することで、我が国の伝統的なわざの継承を図っています。なお、保持者等の認定には「各個認定」、「総合認定」、「保持団体認定」の3方式がとられています。
また、令和3年6月の文化財保護法の一部改正に伴って、無形文化財の登録制度が新しく整備され、新たに華道をはじめとした「生活文化」も無形文化財の対象となりました
参考とした資料
登録無形文化財制度は、令和3年6月に行われた文化財保護法の一部改正に伴い新設された、無形文化財に関する制度です。この制度は、無形文化財を対象として、幅広く文化財の裾野を広げて保存・活用を図ることを目的として新設されました。
従来、文化財保護法における無形文化財に関する制度には、無形の文化的所産の中で重要なものを「指定」する制度がありました。
無形文化財に関する様々な活動は、近年の過疎化や少子高齢化による担い手不足が進むとともに、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響もあり、それらの活動の中止や規模縮小など大きな影響を受けている状況にあります。加えて、文化芸術基本法第12条にある「生活文化」、すなわち、「茶道、華道、書道、食文化その他の生活に係る文化」について、文化庁がその現状把握を行うための調査が進められる中で、茶道や華道、書道等の「生活文化」を無形文化財の新たな分野として位置づけて保存と活用を行っていく必要が生じました。
このような背景もあり、無形文化財の保存と活用を一層進めるために、従来の「指定」による保護制度に加えて、新たに「登録」の制度が創設されることになりました。
新設された無形文化財の登録制度では、従来から対象となっていた、演劇や音楽等の「芸能」と「工芸技術」だけではなく、新たに「生活文化」が対象に加えられ、登録基準も設けられることになりました。これにより、文化芸術基本法第12条にある「生活文化」の中でも、無形の文化的所産であると認められるものについては、無形文化財として登録されるとともに、無形文化財のわざを保持する者もしくは保持する団体が認定されることとなりました。
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